【2022年】チャットコマースとは?市場や事例、導入メリットを徹底解説

いま注目のチャットコマースとは何?その意味と導入メリットについてわかりやすく解説していきます。

従来、ECサイト(オンライン販売)では、one to one(1対1)の接客による購買体験の向上が難しいとされてきましたが、チャットコマースならその課題を解決できます。
市場で注目を集める理由や企業事例についてもあわせてご覧ください。

チャットコマース(Chat commerce・会話型コマース)とは?

チャットコマースとは、LINEやFacebbokメッセンジャーといったチャット(=会話)ができるアプリやサービスを利用し、企業・ショップがユーザーとの会話を通じておすすめ商品を紹介したり、問い合わせに対応したりするサービスのことです。
ローマ字では「Chat commerce」と表記しますが、英語圏での呼称は「Conversational Commerce」。ECに続く販売形式、通称CCとして広く注目を集めている販売形式です。
その特徴は、これまでオンラインでは難しかったone to one(1対1)の接客による購買体験の向上が可能であること。
チャットコマースでは、対話を通して顧客のニーズや疑問点をヒアリングし、ユーザー理解を深めることができます。結果、一人ひとりの顧客に最適な接客を提供し、効率的な販売活動につながるのです。

チャットコマースの市場は?近年注目が集まる3つの理由

実はこのチャットコマース、近年徐々にその注目度を高めており、導入事例も国内外問わず増えてきています。
なぜチャットコマースが期待を集めているのか、その理由をご紹介しましょう。

理由1.消費者の生活にチャットでのコミュニケーションが根付いている

スマホを日常の連絡手段として使っている場合、恐らくほとんどの方が、LINEやFacebookメッセンジャーなどのチャットアプリを利用しているのではないでしょうか。データを見てみても、2021年1月時点で国内のLINEのユーザー数は約8,600万人にものぼっています。

チャットアプリは今や、人々の生活の一部といっても過言ではありません。当然これは日本に限ったことではなく、世界中の人がチャットでのメッセージのやり取りを日常的におこなっています。
それだけの規模の人数が毎日アクティブに使っているプラットフォームを活用すれば大きな効果を期待できます。これが第一に、チャットコマースへ注目が寄せられている理由です。

理由2.オンラインでもリアルと同様のやり取りが可能に

EC販売と実店舗販売を比較した際、前者のデメリットとしてよく挙げられるのが提供できる接客に限度があるという点です。

たとえば、アパレルの実店舗であれば、商品の取り扱いに関する質問や、店頭に在庫がないアイテムの次回入荷情報、着こなしについてのアドバイスなどを販売スタッフに尋ねられます。消費者にとっては商品を購買するに至るまでのハードルを失くすことができ、店舗にとっては顧客に対して商品をアピールするチャンスが得られます。
ですが、基本的に顔の見えないチャネルであるECではそれが困難です。商品をみて「知りたい」と思ったことがあってもすぐにスタッフに訊くことができず、実店舗に購買体験の充実度が及ばないイメージがありました。

その難点を解消できると期待されているのがチャットコマースなのです。ECサイトにチャットボットを導入しておけば、顧客は商品やサービスについて困ったこと・疑問点があったとき、すぐにチャットに書き込んで答えを得ることができます。
結果、EC市場の需要の拡大とともにチャットコマースも注目度を高めることとなりました。

理由3.従来よりも幅広いニーズの刈り取りができる

続いての理由も、チャットコマースとECの相性の良さによるものです。
ECに集客する際の流入経路の一つが自然検索。ユーザーがGoogleやYahoo!の検索エンジンにキーワードを入力し、能動的に情報に辿り着く経路です。
従来は検索で使われたキーワードを集計すれば、ユーザーが何を求めてサイトにランディングしたかがわかりました。自然検索のデータはユーザーニーズをはかるのに非常に有効だったのです。
しかし、近年は少し状況が変化しています。SNS・キュレーションメディアなどの口コミ情報が集まるプラットフォームの活用が広まったこと、フィード広告が台頭してきたことにより、流入における自然検索の占める割合は以前ほど大きくありません。

ネットの口コミや広告経由の流入では、自然検索ほどニーズをはっきりとつかめません。そこで活躍するのがチャットコマースです。
チャットコマースでは、一人ひとりのユーザーと対話して、それぞれに適した対応ができます。多様化するユーザーニーズに効果的に応えられる手段として、マーケティングの可能性を広げることが期待されています。

チャットコマースで得られるメリットは?

今後ますます事例が増えていきそうなチャットコマースですが、導入することによって具体的にどのようなメリットが得られるのか気になりますよね。
以下に、チャットコマースのメリットを3つご紹介します。

メリット1.対話型チャネルは電話問い合わせやコスト削減になる

まず挙げられるのが、コストの削減に貢献するという点です。
通常、ネットショップには顧客からの質問やクレームを受け付けるための問い合わせ窓口を設置します。ですが、利用者が多く規模の大きなサイトであるほど問い合わせの量も増え、人手不足に悩まされる例も少なくありません。
ですが、チャットコマースのような対話型チャネルを導入すれば、問い合わせの全体件数が減り、窓口の負担減少につながります。また費用面も、電話での問い合わせ対応と比較して50~75%程度削減できるというデータも出ています。

メリット2.ユーザー情報やデータを資産化できる

マーケティングとはしばしば、モノを売るための仕組みを作ることだといわれます。
では、その仕組みづくりに必要なのはなにかといいますと、自社の商品やサービスを買ってくれるであろう顧客に対する理解を深めること。
住んでいる場所・年齢・職業など、顧客についてのデータを蓄積すると、よりその人に対して効果の高いアプローチをすることができ、効率的な販売につながります。
このユーザーに関するデータ収集にチャットコマースがとても有効なのです。

チャットコマースは個々のユーザーとone to oneのコミュニケーションをとり、深く顧客と関係を築くことができます。コミュニケーションを通してユーザーに関するデータを多く集めることができ、マーケティング活動への活用が可能です。

メリット3.ブランドロイヤリティや競合との差別化につながる

チャットコマースはユーザー心理にもプラスに働きかけることが期待できます。
ユーザーのブランドに対する好感度は、しばしば自身が受けた接客体験の質にも左右されます。

従来ECでは実店舗ほど細やかな対応はできませんでしたが、対話型チャネルでは会話のデータをもとに、一人ひとりのユーザーに対して適した受け答えやおすすめ情報の提供が可能です。
すると、ユーザーとしては「自分にとってぴったりの情報を与えてくれた」と認識し、ブランドに対して好意をもつようになります。
また、対話形式というのも親近感を高めるにはうってつけ。こうして徐々にユーザーがファン化することで、顧客の囲い込みにもつながっていきます。

チャットコマースの企業事例を紹介

それではここから、実際にチャットコマースの導入によって成功を収めている企業の事例を見てみましょう。海外から2例、国内から2例を紹介します。

【海外】ピザハット

テイクアウト・デリバリーピザ専門店のピザハットの事例です。
ピザハットは2016年、アメリカ国内でFacebookメッセンジャーとTwitterを利用したチャットサービスを開始。チャットでピザを注文できるようになりました。さらに、お気に入りのピザはウィッシュリストに追加しておけば、次回からは指でタッチするだけでオーダー可能。注文の簡略化を実現しました。
ピザハットのチャットサービスは注文受付のほかにも、よく寄せられる質問への回答ができたり、最新情報を通知したりといった機能をもっています。

【海外】H&M(エイチアンドエム)

ファストファッションブランドとして世界中で人気を集めているH&Mも、海外店舗でチャットによる接客サービスを導入しています。
H&Mが利用しているのは、Kikというメッセージングアプリのプラットフォーム。ユーザーとの対話を通して好みなどをリサーチし、スタイリングのヒントやアイテムの組み合わせアドバイスを提供しています。またこのチャット、絵文字やくだけた会話表現にも対応しており、本当に友だちと会話しているかのようなやり取りを楽しめます。

【国内】バルクオム

メンズ向けスキンケアブランドのバルクオムは、国内でも随一のチャットコマース成功事例です。チャットコマース導入によってLINEのインフィード広告の効果アップをはかった結果、なんとCPAの257%改善を達成しました。
この成功の要因となったのが、徹底したユーザーニーズのヒアリングです。まずユーザーとのメッセージのやり取りで相手のデータを集め、それぞれの悩みを聞き出します。それに対し、アドバイスとともにおすすめ商品を提示することで、購買へと自然に誘導することができました。

また、その時に購買に至らなかった人に対しても、チャットで得たデータをもとに後からプッシュ通知を配信。これもコンバージョンに寄与し、離脱後の後追いに成功しました。実際、バルクオムのコンバージョンのうち、およそ40%がこのプッシュ通知をきっかけとしています。

さらに、バルクオムのチャットコマースが貢献したのが、TVCM効果の最大化。CM放映後、ユーザーごとにチャットに反応してくれそうなタイミングでCMの内容を引用したメッセージを配信。CMとの連動により、さらにパフォーマンスを高められることとなりました。

参考サイト:https://lp.fanp.me/case/bulk-homme/

【国内】ヤマト運輸

ヤマト運輸はチャットサービスの導入で、業務の効率化に成功しています。
使用しているプラットフォームはLINE。ユーザーは、LINEでヤマト運輸のアカウントに配送状況を問い合わせたり、受け取り場所や指定日時の変更をしたりすることができます。
これにより、配達ドライバーの業務の効率がアップ。また、ユーザーにとっても従来より手軽にサービスを受けられるようになりました。

【比較用】チャットコマースに使えるアプリ・サービス

実際にチャットコマースを導入する際に利用できるアプリやサービスをご紹介します。

Facebook Messengerアプリ

Facebookのプラットフォームを活用したメッセージングアプリです。Facebookアカウントをもつ人同士であれば、無料で手軽にチャットのやり取りができます。

LINE

すでにこの記事でもご紹介しましたが、約8,600万人ものユーザーを抱えるLINEは、国内最大規模のメッセージアプリです。
LINEで公式アカウントを取得すると、あらかじめLINE側で用意されている応答メッセージ、AI応答メッセージに加え、Messaging APIを利用したチャットボットを導入できます。

zeals(ジールス)

「ヒアリングファースト」を大切に、上質な接客体験の提供を目指しています。事例としてご紹介したバルクオムが導入したのもこのzealsです。

Revive(リバイブ)

初期費用無料、成果報酬型のチャットLPです。広告からチャット画面に遷移させ、コンバージョンまで誘導します。

sinclo(シンクロ)

マーケティング効果の改善と、カスタマーサポートのコスト削減を二軸としています。

まとめ

今回は、これからの市場拡大が予測されるチャットコマースについてご紹介しました。
今後多様化するユーザーニーズに応えるためには、ECに限らず実店舗でもデジタル化が求められていくといわれています。オンライン・オフラインともに、販売業に携わるのであれば新しいシステムやサービスも積極的に取り入れていく姿勢が大切でしょう。

チャットコマースは、近年注目を集めるマーケティング施策の中でも比較的多くの企業にとって導入しやすいサービスです。ぜひ、ユーザビリティの向上と業務の効率化のため、検討をしてみてはいかがでしょうか。

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