2021年IT導入補助金の採択率は54.1%!採択率を上げるコツを紹介

IT導入補助金を検討している方にとって採択率は気になりますよね。 実際に申請して不採択となった方は、「なぜ不採択になったのかがわからない…。」とお悩みかと思います。 不採択の理由は、残念ながら一般公開されておりません。 今回は過去の事例をもとに、不採択になる5つの理由と、採択率を上げるためのコツをご紹介します。
※本記事は2021年時点での情報を元に執筆しています。

2021年IT導入補助金の採択率・交付率

2021年10月31日現在、IT導入補助金2021の採択率は、1次締切分と2次締切分が公表されております。

1次締切分(交付決定日:6月15日)の採択率

1次締切分の採択率の平均は55.5%でした。

A類型B類型C類型D類型合計
申請数2,373923,2497976,511
交付決定数1,317481,9084443,717
採択率55.5%52.2%58.7%55.7%55.5%

2次締切分(交付決定日:8月31日)の採択率

2次締切分の採択率は平均52.7%でした。

A類型B類型C類型D類型合計
申請数4,5421579,6641,69616,059
交付決定数2,507535,8691,0369,465
採択率55.2%33.8%60.7%61.1%52.7%
※出典:交付決定事業者一覧|IT導入補助金

2次締切分の採択率は、1次締切分と比べて大きな変化はありませんが、申請数は倍に増えました。

2021年IT導入補助金の平均採択率は54.1%

総合で見比べると、最も高い採択率は2次募集のD類型で採択率は61.1%、最も低い採択率は2次募集のB類型で採択率は33.8%という結果でした。
ちなみに過去(2017年~2020年)のIT導入補助金の採択率は全て非公表ですが、おおむね50%台と言われております。

IT導入補助金の採択率が下がる5つの理由

IT導入補助金は、申請者の「2人に1人以上」が不採択となっております。
不採択になる理由は、主に次の5つが考えられます。

1.申請書類の内容に不備がある

IT導入補助金は、申請後に訂正や差し替えができません。
次の必要書類に不備があると、自動的に不採択となります。

法人の場合

実在証明書履歴事項全部証明書(交付申請日から遡って、3ヶ月以内に発行されているもの)
事業継続確認書類法人税の納税証明書(その1またはその2)

個人事業主の場合

本人確認書類運転免許証または運転経歴証明書または住民票
事業継続確認書類(1)所得税の納税証明書(その1またはその2)
事業継続確認書類(2)所得税確定申告書B
※出典:交付申請の手引き|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局

書類がそろっていても、次のような情報が不一致や不整合であれば、不採択になります。

  • 履歴事項全部証明書ではない書類(登記データサービスや現在事項証明書)を提出している
  • 履歴事項全部証明書の発行日が申請日時点で4ヵ月以上経過している
  • 履歴事項全部証明書のページ数が不足している
  • 納税証明書の種類を間違えている(その3、その4、領収書など)
  • 指定の身分証明書(運転免許証、運転経歴証明書、住民票)以外を提出している
  • 身分証明書が転居前の情報になっている
  • 身分証明書が旧姓になっている
  • 住民票の発行日が申請日時点で4か月以上経過している

特に自社で用意した書類は、不備がでやすい傾向にあるので気をつけましょう。

2.必須項目を満たしていない

IT導入補助金はA類型~D類型の4つありますが、申請する類型によって必須項目が異なります。
例えばITツール導入で期待されるプロセス数は、類型別で次のように定められています。

  • A類型…1つ以上
  • B類型…4つ以上
  • C類型…2つ以上
  • D類型…2つ以上

プロセスは複数のソフトウェアを組み合わせてカウントできます。
ただし、同じプロセスの重複は1つにカウントされてしまうので、必須プロセス数を満たせない場合があります。

また、通常枠のB類型とC−2類型においては「賃上げ目標」が必須項目です。
賃上げ目標が達成できていない、あるいは達成の見通しが甘いと不採択になります。

3.書類内容に信憑性が乏しく現実的ではない

IT導入補助金は原則として提出した書類のみで審査されます。
審査員が次のように判断した際は、不採択の可能性が高くなります。

  • 自社の経営課題の分析・データが乏しい
  • 自社の経営改善に向けた計画内容が乏しい
  • 労働生産性の向上に向けた分析・データが乏しい

IT導入補助金では、ITツールの活用による「労働生産性の向上」が求められます。 具体的には1年後が3%以上、3年後が9%以上(または同等以上の数値目標)の伸び率が求められます。

それを踏まえて、売上や利益データを提示しながら、自社の課題や経営改善の見込みを論理的、かつ説得力をもって伝える必要があります。
事業の展望が見えない場合や、数値の根拠が乏しい場合は、採択の可能性が低くなります。

4.前年の補助金で導入したITツールと機能が重複している

申請時点で類似のITツールの支援を過去3年以内に受けている場合、不採択になる可能性があります。

  • 平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 平成30年度2次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
  • 令和2年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業

ただしITツールの重複は減点対象のため、必ずしも不採択になるとは限りません。
申請前に確認しておくと良いでしょう。

5.応募時期の予算の関係

IT導入補助金は、経済産業省(中小企業庁)の「中小企業生産性革命推進事業」の一部です。
この事業は「IT導入補助金」、「ものづくり補助金」、「持続化補助金」の3事業の構成であり、2021年度は合計2,300億円の予算が計上されております。

予算の内訳は公開されておりませんが、予算の消化率によっては年度末の採択率が低くなる可能性は否定できません。なるべく早めに申請しましょう。

IT導入補助金に採択されるためのポイント

採択されるには、上述の「採択率が下がる理由」を満たすことは最低条件ですが、次に紹介するコツを抑えることも重要です。平均点を上回る申請書類を提出しましょう。

IT導入支援事業者に相談し適切な申請をする

例えば「ECサイトの作成」の経費を申請する場合、A・B類型は補助対象外となりますが、対人接触の機会を低減する「非対面化」への取り組みを支援する目的で、C・D類型は補助対象となります。

どの類型で申請するべきか補助事業に精通していないと判断が難しいです。
補助事業のプロである「IT導入支援事業者」に相談すれば、適切なITツールの提案・導入・アフターサポートをしてくれますので、採択率アップが期待できます。

加点項目を取りに行く

次の加点項目を取りに行くことで、採択率を上げることが期待できます。

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得する
  • 導入するITツールとしてクラウド製品を選定する
  • 事業計画を策定し賃上げ目標を従業員に表明する
  • インボイス制度対応製品を選定する

「地域未来牽引企業」とは、地域未来投資促進法における地域経済牽引事業の「担い手候補」です。
地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を期待されています。

地域未来牽引企業

クラウド製品は、「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」に記載される、クラウド・バイ・デフォルト原則に基づいたITツールです。

政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針

まとめ

IT導入補助金は申請後の書類の変更や修正は一切認められていないため、初歩的な書類漏れや間違いのミスは無くしたいですね。 導入したいITツールがみつかれば、初期の段階からIT導入支援事業者に相談してサポートを受けることが、採択率を上げる最短ルートと言えるでしょう。

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