【2021年】IT導入補助金の申請方法と採択率の上げ方を徹底解説

2021年度のIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、ポストコロナを念頭にした「業務非対面化」と「連携」が重要なキーワードです。
IT導入補助金の補助額は最大で450万円。国内の9割以上の企業・個人事業主が対象です。ITツール導入を検討するならぜひ活用しましょう。
本コラムでは、2021年度IT導入補助金の申請方法と、採択率を上げるためのポイントをわかりやすく解説します。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、経済産業省の監督のもとで進められる「業務効率化・売上アップ」をサポートするための制度です。対象は中小企業、小規模事業者。ITツールを導入することで、経営力の強化を図ることを目的としています。

2021年度IT導入補助金の申請ルールを簡単に説明すると、次のようになります。

  • IT導入支援事業者(ITベンダー)との共同申請が必要。(単独での申請は不可)
  • 申請するソフトウェアは事前登録が必要
  • ソフトウェアの申請が主でハードウェアの購入は対象外
  • 申請対象の購入費用は一旦全額支払う必要がある

IT導入補助金で申請できるITツールの条件

IT導入補助金で申請できるITツールは、次のいずれかの条件を満たし、かつ事務局より認定を受けたものに限ります。

  1. 生産性の向上、テレワーク等の業務環境改善するソフトウェア
  2. 上記「1」のソフトウェアのオプション
  3. 上記「1」の役務(付帯サービス)

「1」は必須であり、最低1つのITツールが必要です。
「2」、「3」は必要に応じて組み合わせが可能です。
なお、対象は「ソフトウェア」であるため、サーバーやPC、POSレジなどのハード機器は含みません。
ただし、テレワーク用のPCレンタルやキャッシュレス決済端末レンタルであればC・D類型の対象となります。

また、ECサイトはIT導入補助金の目的である「業務非対面化」に該当しますのでC・D類型の対象です。ただし、企業HPのようなECではないWEBサイトは対象外です。

申請できるITツールを確認する

申請が可能かITツールを提供するベンダーに確認しましょう。
または事務局のポータルサイトで検索もできますのでご利用ください。

■IT導入支援事業者・ITツール検索
https://www.it-hojo.jp/applicant/vendorlist.html

IT導入補助金2021の対象は「中小企業」と「小規模事業者」

IT導入補助金の対象は、業種別の資本金・従業員によって異なります。
自社が該当するかチェックしましょう。

中小企業の条件

業種資本金従業員(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業3億円300人
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円200人
旅館業5,000万円900人
その他の業種(上記以外)3億円300人
医療法人、社会福祉法人、学校法人300人
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所100人
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体主たる業種に記載の従業員規模
特別の法律によって設立された組合またはその連合会
財団法人、社団法人、特定非営利活動法人
出典:事業概要 | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/overview/

小規模事業者の条件

業種従業員(常勤)
商業・サービス業5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

出典:事業概要 | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/overview/

WordPressは、コンテンツの作成や発信に関する機能に長けており、メディアサイトとしての機能を持ったECサイトの構築にも適しています。価値あるコンテンツの発信によりSEOや集客に強いECサイトを構築できる点は、WordPressならではのメリットです。

プラグインによる機能拡張などカスタマイズが簡単にできる

いずれの場合も、大企業の子会社や孫会社は対象外となるので注意しましょう。
なお、従業員(常勤)とは、正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず、次の条件が当てはまる従業員を指します。

  1. 期間の定めなく雇用されている者
  2. 過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者、または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

出典:東京労働局雇用環境・均等部
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0142/7175/20167411655.pdf

正社員は「1」が該当します。
契約社員・パート・アルバイトは「2」が該当します。

IT導入補助金2021の種類(類型)と補助額

2021年度では、次のA類型~D類型の4タイプがあります。

類型補助額補助率主な補助対象
A類型30万~150万円未満1/2ソフトウェア(単体)
B類型150万~450万円1/2ソフトウェア(複数機能必須)
C類型30万~450万円2/3連携型ソフトウェア
D類型30万~150万円2/3クラウド・テレワークツール

2021年度は例年のA・B型の「通常枠」に加えて、新型コロナウイルス感染症対策としてC・D型の「特別枠」が設けられました。特別枠では、感染症が社会に共存していることを前提とした「ポストコロナ」を念頭に、人との接触機会を減らすための「業務非対面化」に対して補助される枠組みとなっております。

申請する種類によって定められた「プロセス数」を満たすことが条件

 種別Pコードプロセス名
業務プロセス共通プロセス共P-01顧客対応・販売支援
共P-02決済・債権債務・資金回収管理
共P-03調達・供給・在庫・物流
共P-04会計・財務・経営
共P-05総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
業種特化型プロセス各業種P-06業種固有プロセス
汎用プロセス汎P-07汎用・自動化・分析ツール
(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア)
※出典:申請区分について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/applicant/application-sections.html

申請する類型に応じて、次のプロセス数を満たす必要があります。

  • A類型・・・1つ以上
  • B類型・・・4つ以上
  • C類型・・・2つ以上
  • D類型・・・2つ以上

プロセスは複数のソフトウェアを組み合わせることで稼ぐことができます。
ただし、プロセスが重複する場合は1つとして計算されます。
なお、複数のソフトウェアを組合せてプロセス数を稼ぐことは可能ですが、同じプロセスの重複は1つとして計算されるのでご注意ください。

A・B・C・D類型それぞれの特徴

それぞれの類型の特徴を理解し、どのタイプで申請するかを決めましょう。

A類型(通常枠)

必要なプロセスは1つ以上であり、申請しやすい類型です。
単体のソフトウェアを導入したい企業向けです。
また、賃上げ目標は「加点要素」となり申請要件は低く設定されております。

B類型(通常枠)

必要プロセスは4つ以上を満たす必要があるため、複数のITツールを導入したい企業向けです。また、賃上げ目標が設定されており、未達の場合は返還が求められるため申請のハードルは高めです。

C類型(低感染リスク型ビジネス類型

C型は必要プロセスを2つ以上満たす必要があります。
また、「非対面化ツール」でかつ「連携型ソフトウェア」が条件です。
連携型ソフトウェアは、事務局に「連携型」として登録されたITツールを選択しなければなりません。

また、申請額が300万円以上になると、「賃上げ目標」が必須となります。未達の場合は返還が求められます。

D類型(テレワーク類型)

テレワークのためのクラウドソフトウェアを導入検討している企業向けです。
プロセスを2つ以上満たした「非対面化」かつ「クラウド化」の要件を満たすITツールが対象です。テレワークで利用するPCレンタルも申請可能です。

IT導入補助金の「補助対象経費」の範囲

「補助対象経費」とは、IT導入補助金でまかなえる経費のことです。
対象は次の通りです。

  • A・B類型・・・ソフトウェア、クラウド利用費、 専門家経費等
  • C・D類型・・・上記のものに加えPC・タブレット等のレンタル費用も対象

※出典:「IT導入・DXを検討中の皆様へ」資料|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
https://seisansei.smrj.go.jp/pdf/0103.pdf

詳細については事務局または、ベンダーに問い合わせてみましょう。

2020年度のIT導入補助金と比較した相違点

2020年度と比較して最も相違があるのは、特別枠の「低感染リスク型ビジネス枠」が新設されたことです。また、条件に次の2つが追加されました。

  • 労働生産性の向上に寄与するITツールであること
  • 複数のプロセス間で情報連携し、複数プロセス非対面化や業務のさらなる効率化を可能とするITツールであること

加えて類型においてプロセスの要件や補助率が若干変更されている個所もありますので、申請前にチェックしましょう。

IT導入補助金2021の申請から給付までの流れ

IT導入補助金は、支援事業者(ベンダー)と事務局と連携のもとで進めて申請を行います。
ITツールの商談~交付までの流れは次のとおりです。

※出典:IT 導入補助金 まるわかりハンドブック|株式会社内田洋行
https://www.uchida-it.co.jp/its_wp/wp-content/uploads/dl_pdf/ikgaqahkiqddlx141gjih6wafpvwxa6d.pdf

IT導入補助金は、商談をはじめて交付されるまで、少なくとも半年はかかります。申請は全てWEBサイト上で行われます。なお、交付されるまでの費用は全額支払う必要がある点、留意しておきましょう。

申請前に「gBizIDプライム」を取得する

gBizIDプライムとは、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムのことです。印鑑証明書を一度提出するだけでIDを取得することができ、補助金の電子申請が無料で可能となります。

登録は次のページからどうぞ。

■GビズID | Home
https://gbiz-id.go.jp/top/

なお、2021年6月時点では、申請が急増しているとのことで、完了まで3週間ほどかかるようです。
急ぎの場合は早めの申請をおすすめします。

IT導入補助金の申請スケジュール

2021年6月時点で第3次スケジュールまでが公開されております。

A・B類型2次締切分締切日7月30日(金)17:00(予定)
交付決定日8月31日(火)(予定)
3次締切分締切日9月中(予定)
交付決定日10月中(予定)
C・D類型2次締切分締切日7月30日(金)17:00(予定)
交付決定日8月31日(火)(予定)
3次締切分締切日8月31日(火)(予定)
交付決定日10月中(予定)
※出典:スケジュール | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/schedule/

2020年度は5月~12月まで募集が実施されました。
今年も例年どおりの実施が見込まれますが、場合によっては早期に終了する可能性もあります。
早めの申請をおすすめします。

IT導入補助金の申請に必要な書類

申請書類は法人と個人事業主で異なります。詳細は次のとおりです。

<法人の場合>

実在証明書履歴事項全部証明書(交付申請日から遡って、3ヶ月以内に発行されているもの)
事業継続確認書類法人税の納税証明書(その1またはその2)

<個人事業主の場合>

本人確認書類運転免許証または運転経歴証明書または住民票
事業継続確認書類(1)所得税の納税証明書(その1またはその2)
事業継続確認書類(2)所得税確定申告書B

※出典:交付申請の手引き|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
https://www.it-hojo.jp/r02/doc/pdf/r2_application_manual.pdf

IT導入補助金の申請後は訂正や差し替えができません。十分に内容を確認のうえで申請しましょう。

IT導入補助金2021の採択率を上げるためには「加点」を活用する

IT導入補助金は人気が高く、毎年多くの申請があります。
しかしながら、全ての申請が審査を通るわけではありません。
採択率を上げるには、次の加点項目を最大限に活用することが大切です。

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を得ていること
  • 事業計画を策定し賃上げ目標を従業員に表明していること
  • インボイス制度対応製品を選定していること

なお、過去3年間にIT導入補助金の交付を受けていると減点となります。

賃上げの取り組みは「必須」または「加点」

申請する類型によっては、賃上げ目標が必須、もしくは「加点」となっております。
賃上げ目標の具体的な詳細については次の通りです。

  • 給与支給総額を1.5%以上増加すること
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

※出典:交付申請の手引き|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
https://www.it-hojo.jp/r02/doc/pdf/r2_application_manual.pdf

上記の要件を満たす3年分の事業計画を策定し、従業員に表明する必要があります。
なお、加点項目において「事業計画書の提出」は必須ではありませんが、実施することで採択率を高めることができます。

IT導入補助金の結果は、「申請書の内容」と「加点項目」の2点で決まります。
申請書の内容が完璧であっても、加点が低いと採択されない可能性もあることを留意しましょう。

【事例】makeshopのショップ様でIT導入補助金を申請した方の採択率

ASPショッピングカートサービス「makeshop」では、複数の業務パッケージとオプション(拡張機能)が毎年のIT導入補助金の対象です。
ECサイト導入の支援において、これまでの採択率をご紹介します。

まとめ

コロナ禍の影響もあり、多くの業種でデシタルトランスフォーメーション(DX)の動きが加速しています。
業務改善はもちろん、従業員の働き方やEC化の動きがますます増えるこは想像に難しくありません。
IT導入補助金は国内の9割以上の企業と個人事業主が対象です。
自社の強みと弱みを分析して、需要にあったITツールを導入し、業務効率化と売上アップを目指しましょう。

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