MECEはロジカルシンキングの基本となる思考法!活用法と具体例を詳しく解説

MECEという用語は知っているけれど、どのように活用すればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。MECEはロジカルシンキングの基本となる概念です。この記事では、意味や考え方だけでなく具体的な活用法も併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

MECE(ミーシー)とは

MECEとは、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略です。各単語を順に和訳していくと「互いに・重複しない・全体に・漏れがない」という意味になります。
たとえば、解決しなければいけない課題があったとき、物事を細分化していくと問題がある部分をわかりやすくできます。

しかし、細分化した項目に漏れがあったり、重複していたりすると、問題解決のプロセスとしては適切ではありません。そのため、MECEのフレームワークにあてはめて考えていくことが重要です。

MECEの具体例

前述のとおり、MECEには、漏れがなく重複がないという意味があります。たとえば、国民全員にアンケートを漏れなく重複なく取りたい場合、年代別や性別ごとに実施していく方法が適切です。

一方、MECEに当てはまらないケースとしては、会社員・フリーランス・学生に対して、所属別にアンケートを実施する例があります。この場合、大学に通いながらフリーランスで働いている人がいると、重複が発生してしまうことからMECEではないといえるでしょう。

なぜMECEが重要なのか

具体例に関しては上述で解説しましたが、なぜMECEが必要なのか、ただのロジカルシンキングではダメなのかと疑問に思う人もいるでしょう。
理由としては、ロジカルシンキングができていても、そこに漏れや重複があっては問題が解決できない可能性があるからです。

また解決しなければいけない課題が複雑なほど、漏れや重複は発生しやすくなります。
もちろん仕事をするうえで、解決しなければいけない課題がひとつしかないというケースはあまりないため、時間をかけすぎるわけにもいきません。
このことからもロジカルシンキングとMECEはセットで考えることが基本といえるでしょう。

MECEを活用するフレームワーク

分析をする際には、それぞれの目的にあったフレームワークを活用する必要があります。フレームワークを利用する目的としては、分析をする際に漏れや重複の発生を防ぐためです。
また、グループなどで作業を進める場合はフレームワークを統一するなどのルールを決めておき、それぞれ足並みを揃えることも重要です。

3C分析

3C分析とは、Customer=市場・顧客、Competitor=競合会社、Company=自社の3項目に分けて分析する方法です。市場・顧客、競合他社などの外部と自社を分析することで、客観的に課題や問題を発見できるでしょう。
たとえば、競合他社の強みを発見することによって、自社の弱点を見つけたり、市場・顧客が必要としているもののなかで新たに開発すべきサービスを発見したりできます。

SWOT分析

SWOT分析とは、Strength=強み・Weakness=弱み・Opportunity=機会・Threat=脅威の4項目に分けて分析する方法です。
SWOT分析をおこなう目的としては、強み・弱み・機会・脅威をもとに、自社の課題を解決する道筋を発見できることです。
SWOT分析をおこなうタイミングとしては、事業計画を作成するタイミングがおすすめです。事業計画の作成にあたって、実際にその市場で通用するのかどうかも含め、どのように事業に取り組むべきかが判断しやすくなります。
もちろん現在進行中の事業に対しても有効な分析ではありますが、事業計画を作成する段階であればよりSWOT分析の真価を発揮できるでしょう。

4P分析

4P分析とは、マーケティング施策について考える際に利用できる分析方法のひとつです。
4Pには、Product=製品やサービス・Price=価格・Place=販売場所や提供方法・Promotion=販促活動の意味があります。
マーケティングについて考える際は、自社が参入する市場を分析して、マーケティング戦略や施策を考えるという順に作業を進めるケースが一般的です。そのため、4P分析は最終段階において導入すべきフレームワークといえるでしょう。

5フォース分析

5フォース分析とは、新しい分野において、事業や商品を開発する際におこなう分析方法です。
5フォース分析をおこなう目的としては、新規の事業や商品に収益性があるのかを調査することによって、以下のような項目を明確化することです。

  • 業界内のライバル企業
  • 業界への新規参入者
  • 現在の商品ととって変わりそうな製品
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

上記の5つの脅威はすべて外部から受けるものではありますが、収益性を上げるうえで分析を避けては通れないでしょう。

PEST分析

PEST分析とは、ビジネスに影響が出る可能性がある外部変化について分析する方法です。
具体的には、Politics=政治・Economy=経済・Society and Culture=社会文化・Technology=技術について分析します。
また、外部の変化をはじめとする外部要因について分析する場合には、中長期にわたって大きな視点で分析するマクロ環境分析、短期間で小さな視点で分析するミクロ環境分析があります。

MECEのアプローチ

実際に分析をおこなう際には、ひとつひとつ手順を追って整理していくことが重要です。MECEな思考を深めていくにはいくつかのアプローチがあるため、どのような方法で分析を進めるべきか考えてから取り組みましょう。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチは、全体で考えるのではなく、抱えている課題や目的に合わせて分類していく方法です。分析しなければいけない対象がはっきりしていて、どう分類すべきか分かりやすいものなどに向いています。
メリットとしては、分析対象の全体像を把握しやすいといった点があげられます。一方、デメリットとして個々の事象から全体を理解していくため、漏れや重複が発生しやすい点があるでしょう。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチは、事前に全体像を把握しにくく、どのように細分化していいかわからないときに向いている方法です。具体的には、会議などの場で要素をたくさん出していき、似ている要素どうしをまとめることで全体像を把握しやすくします。
ボトムアップアプローチのメリットとして、分析担当者が詳しくない領域であっても分析がしやすい点があります。一方、ボトムアプローチのデメリットとして、全体像への理解の浅さから漏れや重複が発生するリスクがあげられるでしょう。

MECEの切り口

MECEな考え方においては、全体をどのように分解していくかが非常に重要になります。具体的には「要素分解」「時系列・ステップ分け」「対称概念」「因数分解」の4つを意識しておこないましょう。

要素分解

要素分解では、まず全体像を把握したうえで、全体を構成している柱となるものをいくつか選びます。要素分解をおこない、全体を分解してそれぞれを考えることによって、解決策を考えやすくなるでしょう。

時系列・ステップ分け

時系列・ステップ分けでは、物事を進める順番、各工程の段階ごとに分解して考えます。たとえば商品の製造においては、部品などを仕入れて商品の仕様に合わせて加工し、それぞれを組み立てて完成というステップに分けられます。
マーケティングにおけるステップ分けは、品物を買うか迷っている人に対して、実際に買うまでのステップについて分解して考えることです。具体的には、商品を認知してもらい、実際にどのようなものか理解してもらったあとに動機付けをし、買ってもらうというステップに分けられます。

対称概念

対象概念の分け方は、売上が上がった商品・売上が下がった商品のように反対の事柄で分ける方法です。分解の仕方としては、もっともシンプルな方法であるといえるでしょう。

因数分解

ビジネスにおける因数分解とは、課題などを細かく分けて考えることをいいます。たとえば、1から10までのタスクが並んでいるとき、優先順位がはっきりしていないとどこから着手すべきか悩んでしまうはずです。
そこで締切の日程順に分けていき、優先順位の高低を明確化させる方法があります。その後、優先順位が高い仕事の作業工程を細分化していく流れこそ、ビジネスにおける因数分解の方法論です。

MECEに考える際のコツと注意点

MECEは問題や課題を解決するうえで重要な考え方ではありますが、解決に向けた進め方を間違えてしまうと、正しくない結果が出てしまう可能性もあります。
そのため、MECEな思考をするうえではコツと注意点を意識しておきましょう。

MECE自体を目的にしない

MECEを考えるのに夢中になってしまい、本来の目的から外れてMECE自体に目的が変わってしまっている場合があります。もちろんMECEに考えること自体は重要ですが、MECEは本来の目的を叶えるための手段にすぎません。
はじめのうちはMECEな思考や要素の分解に労力を使ってしまい、作業のなかでも大きな比重を置いてしまうかもしれません。しかし、MECEが目的になってしまうと、本来の目的が疎かになってしまいます。
本来の目的を忘れないようにするためには、あらかじめなぜMECEに考えるのかを明確にしておきましょう。

すべてをMECEに分類できるわけではない

MECEの考え方はすべてに通用するわけではありません。要素を分解するのが難しい事象に対して、無理やりMECEな思考法を試してしまうと、間違った結果が出てしまう可能性も十分にあります。
うまくいかない場合の例としては、MECEに分解することを気にしすぎて本質から逸れてしまったり、細分化しすぎた結果、重複しているように感じてしまったりすることがあげられます。

MECEな思考法を練習する方法

MECEな思考法を練習する方法は、主にふたつあります。
ひとつは、繰り返しロジカルシンキングをおこなうことです。ロジカルシンキングに慣れていない方がMECEに思考しようとしても、なかなかうまくいきません。

はじめは漏れや重複が出たり、分析結果が精緻なものでなかったりするはずです。しかし、ロジカルな思考を繰り返すうちに、MECEに思考するためのコツがつかめるでしょう。
もうひとつは、自身の分析をほかの人に見てもらうことです。みずから行った作業の問題点を自分で発見することは難しく、重複や抜け漏れにも気付けないケースがあります。
そのため、ダブルチェックを兼ねてほかの人に見てもらうことによって、より精緻な分析ができるうえ、自身の分析における課題を発見できるでしょう。

まとめ

近年、MECEな思考法が注目されていますが、使いこなすのはなかなか難しい方法です。そのため、まずはMECEの定義をおさえたうえで、どのようなフレームワークで活用できるかをチェックしましょう。
また、MECEな思考法を練習するには、繰り返しロジカルシンキングに取り組むことが大切です。ときには他人のフィードバックを受けて、より精緻な分析ができるように心がけましょう。

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