EC向け発送代行サービスを比較!選び方とメリット・デメリットを紹介

「出荷業務が忙しくて本業に集中できない」「出荷量が増えてきてミスが増えてきた」と悩んでいませんか?

ECサイトの売上をアップさせるには受注件数を伸ばす必要がありますが、比例して出荷業務は忙しくなります。その分、保管スペースの拡張や発送スタッフの増員は欠かせず…固定費に悩む事業者の方も多いのではないでしょうか。

解決策のひとつは「発送代行サービス」でアウトソーシングすること。今回はEC向けの発送代行サービスの選び方とメリット・デメリットをご紹介します。最後までご一読ください。

ECの発送代行とは?

発送代行は、商品の在庫管理や、受注後のピッキングから発送までの物流管理をアウトソーシングできるサービスです。ECサイトにおける物流の流れを表すと次のようになります。

発送代行サービスでは、主に上記表の赤枠の箇所がアウトソーシングできるのが一般的です。ECサイトの運営では、オフィスと物流スペースが同じテナントで行われるのが一般的ですが、次の悩みを抱えるなら発送代行サービスの利用も視野に入れましょう。

  • 兼業で出荷作業をこなしていて基幹業務に集中できない
  • 在庫が増えてきて保管スペースが足りない
  • 繁忙期と閑散期の物流差が大きくて管理にムダが多い
  • 出荷件数や商品点数が増えてポカミスが増えてきた

EC運営に携わるスタッフ数やビジネスモデルによっては、発送代行サービスの方がコストパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

EC向け発送代行サービスで委託できる業務

発送代行にはさまざまなサービスがありますが、おもに「在庫保管」「ピッキング」「梱包」「発送」の作業を委託できます。

委託を検討する前に、「どんな作業を委託したいか?」「委託することでどんな効果を期待するか?」をイメージしましょう。発送代行サービスによってはさまざまなオプションが用意されています。ムダなコストを削減するためにも条件を明確にしましょう。

EC向け発送代行サービスの一覧と代行料金

代表的なサービスは次のとおりです。

会社名料金入庫・検品料ピッキング料保管料
ポストサイズ60サイズ100サイズ
ロジモプロ320円650円790円0円0円0円
ロジー.com280円598円別途見積0円50円/個0円(3ヶ月分)
ウルロジ300円650円750円20円/個20円/個3万円
日新ECパートナーズ750円~750円~750円~0円0円0円
サイテキ350円480円550円0円0円0円
ECO宅350円~400円~400円~0円0円4,980円/月
ケイアイロジ別途見積別途見積別途見積300円/個棚1段月額1,100円~

発送代行サービスの料金は、毎月の物流量によって異なり、多いほど料金を抑えることができます。なお、月間で出荷できる物流量や保管スペースの面積によって制限がある場合があります。詳しくは各サービス会社に問い合わせましょう。

発送代行は「3PL」と「フルフィルメント」の2種類あり

上述の発送代行は、「3PL」と呼ばれるタイプのサービスです。3PLは「サードパーティー・ロジスティクス」の略称で、在庫管理やピッキングなどの物流機能全般をアウトソーシングするサービス。一方でフルフィルメントは、3PLに加えて、問い合わせ、返品交換、クレーム対応などのコール業務もサービスに含まれます。

代表的なフルフィルメント会社は次の4社です。

  • Fulfillment by Amazon (FBA)
  • 楽天スーパーロジスティクス
  • ヤマトシステム開発
  • 佐川グローバルロジスティクス

FBAはAmazonに出品することで利用できるフルフィルメントサービスです。他のサービスでは自社ECサイトと連携可能ですが、出荷量や希望するサービスによって料金体系が異なるため、詳細は個別見積もりが必要です。

EC向けの発送代行サービスを利用するメリット

発送代行サービスを利用するメリットを詳しく見ていきましょう。

本来のコア業務に集中できる

ECサイトは事業拡大するほど、物流量の増加は避けられません。小規模のEC事業であればフロント業務とバック業務の物流を兼業する方も多いですが、基幹業務をおろそかにしては中・長期的な事業拡大は見込めません。アウトソーシングすることで本業に集中できるようになります。

在庫を保管しておくスペースが不要に

事業規模が小さいときは、オフィスの一部を保管場所にして発送業務ができますが、起動にのれば物流は増えてきます。事業拡大に合わせて保管スペースを拡大したくても物理的に難しいケースが多いかと思います。
また、繁忙期と閑散期の物流量に格差があったとしても、繁忙期に合わせた設備投資をしなくてはいけません。発送代行サービスを利用することで、繁忙期・閑散期を意識せず物流を任せられます。

出荷作業のオペミスを解消できる

EC事業において、サイト管理や受注管理などはシステム化が進んでいますが、物流はまだまだアナログ作業が多いです。物販ECサイトは、少在庫で多品目の商材を扱うのが一般的で、ピッキングや梱包作業でヒューマンエラーが起きやすくなります。例えば商品カラーやサイズを間違えたり、商品コードを読み間違えたり…。オペミスはお客様に残念な体験をさせてしまうため、ECサイトの評価を損ねてしまいます。発送代行サービスを利用することで、オペミスが解消できます。

経営の可視化が可能に

在庫管理がしっかりしないと、在庫を抱え込みすぎたり、売れ筋商品を見落としたりしてしまいます。在庫管理は「在庫金額」と「在庫回転率」の両面をチェックすることが大切。

  • 在庫金額・・・ある時点で手元に残っている商品を金額換算することで算出
  • 在庫回転率・・・出庫した総数÷平均在庫数

例えば、1年間に倉庫から出庫した個数が1,000個で、期首の在庫が120個、期末の在庫が80個であれば、平均在庫は100個({120+80}/2)となり、在庫回転率は10(1,000÷100)となります。在庫データを可視化することで現場と経営陣が現状を共有しやすくなります。可視化すると実務と経営に良い影響を与えます。

物流経費が変動費になる

販売する商材にもよりますが、年間を通して繁忙期と閑散期があります。EC事業の売上アップを目指すと繁忙期はより忙しくなるため、増員や保管スペース拡大せざるを得ないですが、閑散期に限って縮小することは困難です。発送代行サービスを利用すれば適材適所で拡大・縮小できて変動費になるので、固定費の負担を減らせます。

ECの発送代行サービスを利用するデメリット

続いてデメリットを見ていきましょう。

自社にノウハウが蓄積されにくい

発送ミスを防ぐには、物流体制の構築とシステム化は欠かせません。発送代行を利用することで発送ミスはなくなりますが、社内に物流の知的資産を蓄えられません。もし将来的に自己発送へ切り替えることになれば、ゼロから構築することになります。

柔軟な発送対応が難しい

例えば熨斗や名入れなどの包装を施す場合、発送代行では対応できないサービスもあります。また、対応可能であったとしてもオプション追加でコストは高くなります。自己発送であれば、工夫しながらサービス改善できますが、発送代行だと小回りがききづらく感じるでしょう。

顧客情報が流出するリスクがある

発送代行において、お客様の名前や住所、電話番号などの個人情報を外部へ送信することになります。セキュリティに穴があると、顧客情報が流出してしまう可能性があります。セキュリティリスクを回避するには、信頼のおける発送代行会社を選ぶことが大切です。

自社で発送する場合にかかるコスト

発送代行を利用するとどれくらいコストが変化するかを把握しましょう。自己発送にかかるコストは主に次の項目があります。

  • 保管費
  • 物流管理費
  • 輸送・運送費

それぞれ詳しく紹介します。

保管費

保管費は商品や資材を保管する際にかかる費用です。保管費は「保管積数×保管料単価」で求められ、保管積数は坪数・㎡・パレット数などで計算します。小規模のEC事業であれば、オフィスの一角に保管場所を設けているかとおもいます。例えば10坪の坪単価1万円のテナントに10坪の保管スペースを設けているなら月額10万円となります。

商品の適切な在庫は「安全在庫+サイクル在庫」で算出します。安全在庫は欠品を生じさせないため最低限確保すべき在庫。サイクル在庫とは、発注から次の発注までの間に消費された半分の在庫量のことです。例えば20日に一度発注するのであれば、10日までに売れた数量がサイクル在庫です。

物流管理費

物流管理費は主に次の項目が該当します。

  • 包装資材
  • 商品の加工費
  • 人件費
  • 在庫管理システム

包装資材は発送用の段ボールやプチプチなど。大小さまざまな商品を取り扱うのであれば、サイズに応じた段ボールが必要になります。ダンボールの隙間を埋めるために、大小さまざまな緩衝材を用意しなくてはいけません。

物流管理費で最もコストが高いのは人件費です。在庫管理や棚卸しはもちろん、受注後にピッキングや梱包、発送を人力で行います。効率的に行うには在庫管理システムの導入が必須ですが、その分コストはかかります。BtoCのECサイトはスピーディーな配送が求められます。受注量に左右されず安定した稼働をするためには、余力をもたせて構築しなくてはいけません。

輸送・運送費

商品をお客様へ配達するのは運輸会社です。配達はヤマト運輸や佐川急便などへ委託しますが、近年は配送を担うドライバーは人手不足や燃料費の高騰が続いており、値上げが続いています。

※画像引用:株式会社通販新聞社https://netshop.impress.co.jp/node/6479

ECサイトで購入率を上げる施策は「送料無料」であることですが、事業者は儲けの一部から送料を負担することになります。輸送費が高くなるにつれて事業者の儲けを削らないといけません。

輸送費を抑えるには運輸会社へ値下げ交渉を行いますが、そのためには月間で数百件以上の実績や見込みが求められます。

ECサイトの発送代行サービスの選び方と注意点

発送代行サービスを検討する際は、次の点に留意して比較検討しましょう。

料金・費用

まずは、自己発送する場合と比べて保管費・管理費・輸送費のトータルコストを比較しましょう。仮に発送代行の方がコスト高であったとしても、基幹業務に集中できることで生産性が上がるのであれば、投資する価値は十分にあります。

月間の出荷可能数に柔軟性はあるか

発送代行サービスによっては、月間の物流量や保管スペースに制限があります。数年先の事業規模によっては最適なサービスは異なりますので、将来の目標値から逆算して考えましょう。

利用するECプラットフォームとの連携のしやすさ

自社で利用するカートASPやECモール、在庫管理システムと連携可能かを調べておきましょう。連携が可能なサービスを利用することでAPI連携が可能となり、出荷指示や在庫同期などを自動で行えるようになります。

サポートの手厚さ・充実性

発送業務においては、イレギュラー対応が発生します。例えばお届け先の変更が入ったり、住所確認が必要になったり。発送手配中にキャンセルの申し出が入ることもあります。発送代行サービスを利用する際は、どこまでサポートしてもらえるかをしっかり確認しておきましょう。また、当日発送の出荷指示はサービス会社によって異なります。あわせてチェックしておきましょう。

商品に合わせた対応

発送代行サービスによって得意・不得意なジャンルがあります。例えば食品が得意なサービスでは冷蔵・冷凍の取り扱いに慣れていますし、アパレルであればユーザーに喜ばれる包装の仕方にノウハウがあります。さまざまなジャンルの商材を取り扱っている場合はより慎重に検討しましょう。

発送拠点を調べる

発送代行サービスの拠点が、関東か関西かで最短のお届け日数が異なります。例えば関東から出荷すれば九州は翌々日に着となりますが、関西から出荷であれば翌日着になります。ターゲットユーザーが北部または南部に偏っている場合は、発送拠点を考慮しましょう。

まとめ

今回はECサイトの事業者の方向けに、発送代行サービスの費用感とメリット・デメリットをご紹介させていただきました。物流を片手間で続けていると必ず本業がおろそかになります。ワンランク上の事業規模をめざすには戦略的なプロモーションや商品企画は欠かせません。出荷作業に追われて基幹業務に手が回らないようであれば、ぜひ発送代行を検討しましょう。

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