【2022最新】コロナ禍のファッションECサイト現状は?市場規模や売上高ランキングまで

ファッションECサイトはコロナ禍でどのような変化をしていくのでしょうか。
当記事ではアパレル・ファッション業界のEC市場規模の推移から、アダストリアやベイクルーズなど大手のEC事業、最新の売上ランキング、まで解説していきます。
ファッション業界でECサイトに携わる方は是非参考にしてください。

アパレル・ファッションECサイト市場規模の現状は?

2021年は新型コロナウイルスの感染拡大により、日本のみならず世界中の経済が大きく打撃を受けました。新型ウイルスの発見から約2年が経過した2022年2月現在、いまだ新たな変異株の増殖は続いています。そんな中、アパレル・ファッションECサイト市場は現在どのように動いているのでしょうか。

まずはここ数年の市場動向を見てみましょう。ファッション・アパレル市場全体としては、90年代以降以前に比べ縮小傾向にあります。
理由は経済の低迷、そしてそれによる低価格帯ブランドの台頭です。
消費者の多くが、ハイブランドよりも安くて手軽なファストファッションを好むように変化してきました。

2010年代に入ると下降は一度ストップ。かといって上昇するわけではなく、横ばいの成長を続けています。
しかし、その中で規模をじわじわと拡大させてきたのがEC市場です。

経済産業省が2021年発表した調査結果によると、2020年のファッション・アパレルECの市場規模は2兆2,200億円。前年比では116.2%の成長を記録しています。市場全体に占めるECの割合は19.44%。全産業における平均EC化率が8.08%であることを考えると、ファッション・アパレル市場はECが活発な業界といえるでしょう。

参考リンク:https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

コロナ禍における市場規模の影響は?

それでは、コロナ禍でこのファッション・アパレル市場、その中のEC市場はどのような影響を受けたのでしょうか。
結論からいうと、実店舗の売上が大きく打撃を受けた一方で、EC市場は拡大傾向となりました。

実店舗では、複数回にわたって発出された緊急事態宣言が大きな要因です。
宣言下の地域では、多くの商業施設・店舗が休業・時短営業を余儀なくされました。さらに、通常どおり店舗が運営している地域においても、外出自粛の要請によって消費者の来店控えが顕著に表れています。これらの要因によって、あらゆる店舗型ビジネスが大きな打撃を受けており、ファッション・アパレルも例外ではありませんでした。

数字としては、主要な駅ビルやファッションビルの売上は30~48%ほど減少。
大手に限っても、アパレルブランドは40~54%、アパレルチェーンは20~40%、それぞれ売上を落としています。
残念なことに、店舗の一斉閉店や、外資アパレルの日本撤退のニュースも少なくありませんでした。
かたや、好調となったのがECです。

「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」などの人気ブランドを展開するアダストリアは、2021年の第3四半期におけるEC売上高について、前年同期比8.1%の増収であったと発表しました。実店舗が長引くコロナ禍の影響を受ける中、自社EC「.st(ドットエスティ)」への集客を強化するため、積極的なプロモーションを図った結果です。
参考リンク:https://www.adastria.co.jp/archives/001/202112/d76db1fb22e96a8ac35c45c91f114a4865ec92fc337c09c22f880a558833ce29.pdf

また、アダストリアの「ドットエスティ」では接客重視のサービスを提供している点も特徴的です。「ドットエスティ」には、2018年から「STAFF BOARD」というコンテンツが存在しています。これは店舗スタッフがスタイリング写真を投稿するもの。
コロナ期間、このページの参加スタッフを1.5倍増加させ、投稿の強化に注力しました。
実際に店で試着などができない状況下で少しでも商品の使用感がわかりやすくなるようにとの狙いでしたが、これが功を奏すことに。コンテンツ経由の売上が大幅にアップしたとのことです。

この施策の実現のため、アダストリアは自宅待機中のスタッフの元へ商品を倉庫から配送。スタッフの投稿環境をサポートしました。期間中はモデルを使用した撮影を自粛していたため、 スタッフの投稿写真をそのままサイトの商品詳細ページにも掲載するなど活用の幅も広がったようです。

そのほか、ショップやスタッフのInstagramアカウントによるLIVE配信も人気に。商品の紹介や着回しの提案、質問へのリアルタイムでの回答などオンラインでの接客を実現させ、店舗休業中でも顧客との活発なコミュニケーションに成功しました。
アダストリアは今後もこの取り組みを続けると発表しており、アーカイブされた投稿動画からECサイトで商品を購入できる「.st CHANNEL」をスタートさせています。

もうひとつオンライン接客の工夫として、アダストリアは商品へのレビュー投稿に対して付与するポイントを、従来の10ポイントから30ポイントへアップ。
レビューを活性化させることで、商品ページを見た人の購入を促しました。

makeshop(メイクショップ)のデータ

makeshopでECサイトを構築しているショップ様のうち、ファッションカテゴリのショップ様について見ると、2020年4月~6月の流通額は合計で昨対比178%となりました。
市場の動きに加えて、ファッション・アパレル業界に適したmakeshop固有のデザイン・機能面も影響していると考えられます。

ファッション業界でこれからECサイトを構築したい場合、あるいはすでにECサイトを運営しているけれども成果が出ていない場合は、ECサイト構築サービスmakeshop(メイクショップ)をご利用ください。
自由度高くSKUごとの商品管理も可能なほか、ラクラクSEO設定ができます。15日間の無料体験から始められるので費用や準備も要りません。

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コロナ禍によって消費者の購買行動に変化は?

市場の現状を把握するには、その中にある顧客の購買行動を読み解く必要があります。コロナウイルスの感染拡大は、ECでの買い物に対する消費者心理にどのような影響を与えたのでしょうか。

ある調査では、今後アパレルの実店舗を利用する機会はどのように変化するか、との質問に対し「減ると思う」と答えた人の割合が約4割にのぼりました。
そしてそのうちの57%の人が、実店舗の代わりにネットショッピングを利用するだろうと回答しています。

この数字は、もしかしたら期待したほど高い割合ではないかもしれません。
忘れてはいけないのは、コロナウイルス蔓延により世界中が一気に不況に陥った、という点。
当然、消費者の財布の紐はリアル・ネット問わず固くなる傾向が予想されるでしょう。
また、コロナ以前からある消費者心理のトレンドのひとつにサステナブル志向があります。アパレル業界は過去十数年、ファストファッションの流行により大量生産・大量廃棄を繰り返してきました。
持続可能な社会実現のためにこれをやめ、いいものを長く着たいと思うユーザー層が徐々に増えてきています。
つまり、アフターコロナでは単純に店舗の売上がECに移るだろうと考えるより、実店舗でもネットショップでも通用する売り方の戦略設計が必要となるでしょう。

ひとつの指標として、先に挙げたアダストリアの例のようにオンラインでの接客強化があります。
これまで頻繁に実店舗で新作をチェックしたり服を購入していたファッションに対して意欲的な層が、トップスやワンピース、スカート・パンツなどのボトムス類やジャケットなど、従来サイズ感をきちんと店舗で確かめていた商品をECでも買うようになっています。
今後もこの流れが続くのであれば、ショップ・ブランド側にはオンライン上でも、サイズ感や使用感をわかりやすくする工夫が求められるといえるでしょう。

ちなみに、コロナ禍の中ではECサイトで売れ筋となるトレンド商品にも変化が見えました。自宅で過ごす機会が増えたため、緊急事態宣言以降はリラックスウェアやルームウェアが人気に。
また、外出が減り運動不足を気にした層からジャージやフィットネスウェアへの需要が高まっています。

ファッション・アパレル業界のEC化率

前述の通り、ファッション・アパレル業界は他産業と比べEC化の進んでいる分野です。 これまでの数年間においてアパレル業界のEC事業が伸長してきた要因としては、以下の3点が考えられます。

  • アパレルのEC販売を効率化するツール・ソリューションの登場と、それに応じてEC運営をするブランドの増加
  • 各社が業務の効率化を進めた結果、マーチャンダイジングサイクルが短くなり、販売機会が増えたことにより売上がアップ
  • 実店舗とECでの在庫や顧客データの連携強化

また、アパレルEC市場の特徴として、スマートフォン経由のユーザー割合が過半数を占めている点があります。若年のファッションに強い関心を抱く層が積極的にECを利用している現状です。

ファッションECで成功している各社の売上高ランキング

それではここから、EC事業に成功しているファッション・アパレル業界の各社をご紹介していきます。各社売上高のデータは日本ネット経済新聞が2021年11月に発表した最新データをもとにしています。

順位企業売上高
1位UNIQLO(ユニクロ)1,269億円
2位ベイクルーズ545億円
3位アダストリア538億円
4位オンワードホールディングス415億円
5位TSIホールディングス406億円
6位WORLD(ワールド)389億円
7位ユナイテッドアローズ326億円
8位千趣会300億円
8位(同率)ビームス300億円
10位マッシュホールディングス288億円
参考リンク:https://netkeizai.com/articles/detail/5115/2/1/1

1位:UNIQLO(ユニクロ)

UNIQLOは、ファストファッションのパイオニアです。2020年度の売上高は前年比117.9%の1,269億円、3年連続で国内1位となりました。
UNIQLOのEC戦略の特徴は、オムニチャネルです。スマホアプリ、ECサイト、実店舗を連携させて、買い物の利便性を高めています。具体的には、アプリの会員証機能、アプリとECサイトの一体化、実店舗の商品バーコードを利用した在庫検索などです。
また、ECサイトの「MySize ASSIST」もUNIQLO独自の機能です。身長、体重、好みのサイズ感を入力するだけでおすすめの商品とサイズを探すことができ、ECサイト上の商品検索をサポートしています。

2位:ベイクルーズ

ベイクルーズは、IENA、JOURNAL STANDARD、Spick and Spanなどを展開するアパレルブランドです。2020年の売上高は前年比106.9%の545億円、前年の3位から一つ順位を上げています。
ECサイト「BAYCREW’S STORE」は、スタッフのスナップ写真を投稿して、コーディネートを紹介しています。そのほかにも、骨格×パーソナルカラー診断、おすすめアイテムを紹介する星座占いなどのコンテンツも提供しており、充実度も魅力です。

3位:アダストリア

アダストリアは、「ドットエスティ」を運営するアパレルブランドです。コロナ禍における取り組みには力を入れており、2020年度の売上高は前年比123.4%の538億円です。前年に比べて順位を一つ下げているものの、2年連続15%以上の成長を記録しています。複数のブランドを展開するうえで、各ブランドのページをイメージに沿ったデザインにしており、ブランディングに取り組んでいる点が特徴的です。

4位:オンワードホールディングス

オンワードホールディングスは、KASHIYAMAや23区を展開するアパレルブランドです。2020年度の売上高は前年比126%の415億円です。2030年度までに売上高1,000億円達成を目標に、EC化率5割を目指しています。自社のメンバーズ会員を中心に、アンケート調査を実施して、ユーザーに求められるサービスの提供に力を入れています。

5位:TSIホールディングス

TSIホールディングスは、ナノ・ユニバースやジル・スチュアートを展開するアパレルブランドです。2020年度の売上高は前年比112%の406億円です。第1四半期にはEC売上高がはじめて100億円を突破しており、前年同期比にして約4.5倍の急成長を遂げました。背景にあるのは、スタッフによるコーディネートコンテンツ、オンライン接客の強化です。とくに、オンライン接客経由のコンバージョンは、従来の30倍以上と圧倒的な成果を出しています。

6位:ワールド

ワールドは、タケオキクチやオゾックを展開するアパレルブランドです。2020年度の売上高は前年比115.4%の推定389億円です。前年の5位から順位を一つ下げる結果となりました。ワールドの特徴はアパレル事業だけでなく、デジタル事業にも本格的に参入している点です。自社の「ワールドオンラインストア」のほか、他社の公式ECサイトの受託運営も手がけており、EC運営のノウハウに長けています。

7位:ユナイテッドアローズ

ユナイテッドアローズは、国内最大級のセレクトブランドです。2020年度の売上高は前年比111.7%の326億円です。2021年4月にはDX推進センターを新設しており、データとデジタル技術を用いた顧客体験の改善を目指しています。一人ひとりの顧客と向き合うことを重視しており、オンライン接客の強化を図る際もBotや一斉配信ではなく、LINE接客を採用したことが高く評価されています。

8位:千趣会

千趣会は、「ベルメゾンネット」を運営するアパレルブランドです。2020年度の売上高は推定300億円です。コロナ前の2018年頃より、紙媒体からECへのシフトに注力しており、競合他社に対してアドバンテージをとっています。

8位(同率):ビームス

ビームスは、ユナイテッドアローズと並んで国内トップのセレクトブランドです。2020年度の売上高は推定300億円です。いずれも推定値ではあるものの、千趣会とともに同率8位につけています。ビームスのEC戦略は、スタッフ個人がコーディネートをアップできる環境を整えたことです。リアルな着用感を伝えられる点は、ビームス独自の強みとなっています。

10位:マッシュホールデングス

マッシュホールディングスは、ジェラートピケやスナイデルなどを展開するアパレルブランドです。2020年度の売上高は前年比126%の推定288億円です。デジタルシフトに本腰を入れ始めたのは新型コロナウイルスの流行以降でしたが、スピーディーな施策への取り組みによって10位につけています。

ファストファッションからサスティナブルファッションへ

近年、社会全体でサスティナビリティを重視する動きが広がっています。ファッション業界においても持続可能性に対する意識が高まりをみせています。大手各社を中心に、サスティナブルファッションに取り組む企業も増えており、新たなトレンドとなるでしょう。
以下では、サスティナブルファッションの概要について解説します。

サスティナブルファッションとは

サスティナブルファッションとは、持続可能性を重視したファッションです。アパレル商品を生産する際、資源の消費、CO2の排出は避けられないとして、大量生産・大量消費を改めようとする考え方です。

アパレル業界での具体的な取り組みは

前述のとおり、アパレル業界においても大手各社がサスティナブルファッションへの取り組みを進めています。たとえば、業界最大手のUNIQLOは店頭にリサイクルボックスを設けて、古着を回収しています。回収後の商品をリユース・リサイクルにまわして廃棄量を減らす取り組みです。また、ECモールの運営で知られるZOZOTOWNは、廃棄ゼロを目指して受注生産プラットフォームを構築しています。

メルカリやヤフオクなどCtoCの台頭

メルカリやヤフオクをはじめとするCtoCプラットフォームの台頭によって、一般消費者どうしの二次流通の市場規模が拡大しています。一見、メーカー・小売店と一般消費者の間でおこなわれる一次流通の市場を脅かすかのようにも思えますが、両者は必ずしも敵対する関係性ではありません。実際、CtoCプラットフォームで得た売上金を活用して、店舗で新たな商品を購入する消費行動も生まれています。

ファッションECが抱える課題と取り組み事例

コロナ禍が思わぬ追い風となり各社EC事業が成長傾向にあるファッション・アパレル業界ですが、実は課題点も抱えています。

アパレル市場全体の縮小

ファッション・アパレル業界全体に勢いがみられないのはすでにご承知のとおり。
とくに若年層をターゲットとしているブランドにとって深刻な問題が進む少子高齢化です。商品のターゲット人口が減少傾向にあるため、国内市場では厳しい戦いを強いられることに。

対策として、海外市場に活路を見出すという手があります。訪日外国人のインバウンド需要の取り込みや、越境ECにチャンレンジするのです。

コロナ蔓延の影響で当面訪日外国人数の盛り返しは望めそうにありませんが、越境EC市場はここ数年徐々に発展してきています。現状、主要な取引相手国としては中国、アメリカの2か国。
挑戦する際はまず市場の大きな国の集客に強いモールへ出店し、知名度をあげていくのが得策でしょう。

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ショールーミングによる実店舗の低迷

EC事業が台頭しはじめた頃から小売事業者の中でも問題点となっているのが、実店舗のショールーミング化。
実店舗で商品を見るだけ見たあと、ECで購入されてしまうというもの。

マルチチャネル化・クロスチャネル化で販売窓口を複数持っている企業・ブランドは、ともするとオンラインとオフラインでの食い合いになってしまいます。また、実店舗スタッフの士気の低下につながりかねません。
そんな中、BEAMSが取り組んでいるのがスタッフのオムニチャネル化です。実店舗のスタッフが商品を紹介するコーディネート写真や動画コンテンツを投稿。この効果は大きなもので、コンテンツ経由の購入率が2.4倍にもアップしています。

クロスチャネルやマルチチャネルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

マルチチャネルとは?クロスチャネルやオムニチャネルとの違いや活用事例を解説

クロスチャネルとは?施策・戦略からオムニチャネルとの違いや分析手法まで解説

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回はファッション・アパレル業界のEC市場について詳しく解説をしました。
全体として縮小傾向にある本業界。とくに今年、コロナウイルスはファッション・アパレルに限らずさまざまな市場に大きな打撃を与えました。ですが、その中においても成長を見せた企業は一貫して顧客ファーストの思考を保ち続けています。
ECサイトは顔の見えないチャネルですが、ここ数年ではその不便さを解消するソリューションも次々と登場しています。ユーザーにとって買い物しやすい環境づくりは着実に売上へとつながるでしょう。今後の各社の戦略に期待します。

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