ECサイトの開発手順と費用相場、構築方法の種類や開発の際の注意点を解説

ECサイトの構築をする場合、自社で開発をするか否かということや、どのプラットフォームを利用するかなど、様々な手段や方法を考える必要があります。今回は、ECサイトの開発手順や費用の相場などについて詳しく解説します。ECサイトの構築を検討している方はぜひ参考にしてください。

ECサイト開発には2つの手段がある

ECサイト開発には2つの手段がある

ECサイトを開発する手段は、以下の2種類です。

  • 自社開発
  • 開発会社へ依頼

ECサイトを開発する際、はじめに決めるべきはどちらの手段をとるかです。以下では、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

自社開発

社内にインフラやウェブデザイン、エンジニアなどのメンバーがいる場合、開発からインハウスで取り組むこともできます。自社のニーズを満たせる開発会社を探すにも、打ち合わせや見積もりなどが必要となるため、労力や時間がかかります。自社開発の場合、プロジェクトをすべて社内で進められるため、スムーズに開発できるでしょう。
一方、社内における業務負担が大きくなってしまう点はデメリットです。スキルをもった人材を新規採用するのでなければ、メンバーは既存業務と兼任するしかありません。ほかの業務に支障をきたすリスクを考えると、リソースが不足している場合はアウトソーシングを検討すべきでしょう。

開発会社へ依頼

自社開発が難しい場合、開発会社へ依頼する方法もあります。条件やプラットフォームにもよりますが、開発だけを他社に依頼して、インハウスで運用することも可能です。
開発会社のメンバーは、ウェブ開発に関して豊富なスキルやノウハウをもっています。高い専門性をもっているため、複雑な要件にも対応可能です。
しかし、自社開発に比べて開発コストが高くなるデメリットもあります。また、外部の開発会社を利用する際は、認識のすりあわせが非常に重要です。要件や運用体制を細かく伝えたうえで開発に入らないと、制作物が理想のECサイトとはかけ離れたものになってしまうリスクもあるでしょう。

ECサイト開発にかかる費用について

ECサイトの開発にかかる費用は、構築手段と構築方法によって変動します。
もっとも安く抑えられるのは、カートASPやオープンソースを利用して自社開発する方法です。初期費用をかけずにECサイトを開発できます。一方、もっとも高くなるのは、開発会社にフルスクラッチで開発してもらう方法です。なお、ECサイトの開発にかかる費用の目安は、以下のとおりです。

カートASP0~数10万円
オープンソース数100万円
クラウドEC数100万円
ECパッケージ0~数100万円
フルスクラッチ数1000万円~

ECサイトを開発する方法5つ

ECサイトを構築するには、ECプラットフォームを利用します。ECプラットフォームには、カートASPやオープンソースをはじめ、さまざまな方法があります。ECサイトを開発する際は、規模や予算に適したプラットフォームを選ぶことが大切です。
以下では、それぞれのECプラットフォームの特徴について解説します。

カートASP

カートASPとは、コストを抑えつつ、誰でも簡単にECサイトを開発できるプラットフォームです。作業は、SNSに登録するようなシンプルな手順で完結します。
一方、カスタマイズ性に乏しい点はデメリットです。ある程度の機能はそろっていますが、基本的に機能の追加はできません。また、デザインもテンプレートに沿って一部を編集して作成するため、他社サイトと似てしまう可能性があります。デザインにこだわりたい場合は、HTMLやCSSを編集できる有料カートASPがおすすめです。

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オープンソース

オープンソースとは、ソースコードを無償で公開しているプラットフォームです。無料でシステムを利用できるため、自社開発の場合は開発や運用にかかるコストを大幅に抑えられます。さらに、ソースコードの改変もライセンスで認められているケースが多く、知識をもった人材がいれば自由にカスタマイズ可能です。パッケージECの中にもオープンソースをもとに、ベンダーが開発したシステムが多く、技術次第では販売できるようなクオリティのECプラットフォームにカスタマイズできます。
しかし、セキュリティ面のぜい弱性をはらんでいる点はオープンソースの弱みです。時間が経つにつれてシステムが古くなると、最新のマルウェアに対策できなくなるほか、ソースコードを公開しているため、システムの弱みを突かれやすくなります。運用時にはセキュリティ対策が必須となるでしょう。

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クラウドEC

クラウドECとは、クラウド上のECシステムを利用できるプラットフォームです。クラウドサーバー上にECサイトを構築するメリットは、システムの陳腐化を防げる点です。クラウド上のシステムは、サービスのプロバイダによって自動でアップデートされます。つねに最新のシステムを利用できるため、業界のトレンドに対応しやすく、セキュリティも高められます。
さらに、カスタマイズ性にも長けており、さまざまな要件を実現可能です。開発の自由度においては、カスタマイズ性の高さを強みとするECパッケージと比較してもひけをとりません。
しかし、インハウス運用を検討している企業は注意が必要です。クラウドECはプログラムコードを開示しておらず、すべてのシステムを社内で管理することはできません。

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ECパッケージ

ECパッケージとは、ベンダーが自社開発して提供するプラットフォームです。既存のシステムが組んであり、要件に合わせてカスタマイズしてECサイトを構築します。また、ECパッケージを取り扱っている事業者は、EC運営に関する知見やノウハウももっているケースが多く、運用中のコンサルティングなども提供しています。
一方、サーバー上に構築するシステムは、時間の経過とともに老朽化する点がデメリットです。日常的な保守とは別に、数年単位で大きなアップデートが求められます。

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フルスクラッチ

フルスクラッチとは、オリジナルのECプラットフォームです。既存のシステムを利用せず、プラットフォームに必要なシステムをすべてゼロから開発します。フルスクラッチのメリットは、圧倒的な自由度の高さです。デザインや機能、ほかのシステムとの連携も含めて、あらゆる要件に対応できます。
しかし、その分開発にはコストや時間がかかります。以前は大規模なECサイトの開発はフルスクラッチでないと対応できないとされていましたが、近年ではECパッケージやクラウドECの人気が高まっているのも事実です。

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ECサイト立ち上げの開発手順・フロー

ECサイトを立ち上げる際は、基本的な流れにのっとって開発を進めていきます。入念な計画をもとに開発しないと、構築後にイメージを違ったり、売上をあげられなかったりするおそれもあります。また、開発手順をおさえておくことはスムーズに開発を進めるうえでも重要です。
以下では、ECサイトの開発手順について解説します。

コンセプトや事業計画を決める

はじめにECサイトのコンセプトを決めて、事業計画をたてます。サイトコンセプトはターゲットや商品ラインナップなどです。明確なコンセプトをもっておかないと、当初想定していた姿と完成図がぶれやすくなります。
また、事業計画は中長期的な目標もたてておくのがポイントです。最低でも3年後までは成長目標を定めておくとよいでしょう。

要件定義を行う

要件定義は、ECサイトのデザインや機能を検討するフェーズです。コンセプトや事業計画をもとに、理想のECサイトを構築するうえで必要な機能を洗い出します。たとえば、会員機能や決済手段、ポイント付与やレビュー投稿などです。
要件定義では、ユーザー向けのフロント機能だけではなく、運営者が利用するバックエンド機能も忘れずに決めておきましょう。

開発方法を決める

要件定義のあとは開発方法を決めます。前述のとおり、ECサイトを開発する方法にはさまざまなものがあります。利用すべきプラットフォームは、ECサイトの規模や予算、要件によって異なるため、自社に適した開発方法を選ぶのがポイントです。

サイトデザインの制作

プラットフォームを決定すると、実際にECサイトを構築するフェーズに入ります。はじめに制作すべきはサイトデザインです。サイトデザインには、UIの調整だけでなく、各機能の実装までを含みます。
サイトデザインにおいては、ユーザビリティを意識することが重要です。視認性や購入までの導線をはじめ、どうすればユーザーにとって利便性の高いECサイトになるかを検討しましょう。

商品登録や諸設定を行う

サイトデザインまで終わると、開発もいよいよ最終段階です。商品登録や各種設定など、実際に商品を販売するための準備に入ります。商品登録の際は、写真のアングルや寸法の記載に注意すべきです。
ECの場合、ユーザーは手に取って商品を見られないため、サイト上で得られる情報だけを頼りに商品を購入します。届いた商品がイメージと違ったり、サイズが合わなかったりすると、クレームや顧客満足度の低下にもつながりかねません。

テスト注文を行う

商品登録や各種設定のあとは、テスト注文をして受注や発送のフローを確認します。テスト注文の際には、サイト上の機能をひと通り試してみて、不具合が発生しないかをチェックしておくとよいでしょう。
また、実際に操作してみると、不便に感じる部分が見つかるケースもあります。ユーザー視点で操作して感じた不満は、サイト改善に活かしていくことが大切です。

オープン

テスト注文を終えてECサイトとオペレーションの準備が整ったら、いよいよECサイトをオープンします。ECモールのように、すでにプラットフォーム上に既存のユーザーがいる場合を除いて、はじめのうちは流入がほとんどないはずです。事前に告知を出したり、プレスリリースを打ったりしてユーザーを確保しましょう。
また、オープン後もサイト改善を継続していくことが重要です。サイト内におけるユーザーの行動や流入元のチャネルなどを分析しつつ、よりよいサイトづくりを目指しましょう。

ECモールやASPなど各構築方法に合わせた手順は?

ここまで紹介したのは、カートASPやオープンソースなどのプラットフォームを利用して自社ECを開発するための手順です。ECモールの場合、基本的な流れは大きく変わりませんが、もうすこし簡単なフローでECサイトをオープンできます。
また、利用するプラットフォームによって、開発における細かいポイントは異なります。本格的にECサイトの開発を検討する場合は、構築方法に合わせた手順を再確認しておきましょう。

ECサイト構築の完全ガイド|作り方の種類・費用から手順まで解説【比較表も】

ECサイト開発の注意点

ECサイトを開発するうえでは、さまざまなトラブルの発生が考えられます。とくに、はじめてECに参入する場合などは、開発中に壁にぶつかることもあるはずです。
ECサイト開発において、トラブルが発生するリスクを最小限にとどめるには、綿密な計画と認識のすりあわせがポイントとなります。計画段階から細かな部分までコンセプトや要件をつめておき、メンバーや外部の業者との間で共通認識をもって、開発にあたることが重要です。

まとめ

ECサイトの開発には、自社開発と外注の2つの方法があり、開発時に利用するECシステムも多種多様です。そのため、プラットフォームごとの特徴やメリットを理解したうえで、開発方法を選ぶことが大切です。
また、開発にあたっては事業計画にもとづいて、適切なフローで進めていく必要があります。的確なターゲットを設定したうえで、ユーザビリティを意識したECサイトを開発できれば、売上につながるでしょう。

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