「属人化・ミス・残業」を断つ!740店舗の受発注業務を劇的に変えたブックオフのDX戦略
2025.12.24
エクセル管理やメールのやりとり、業務の属人化、煩雑な問い合わせ対応、請求ミス──。
そんな課題を抱えていたブックオフコーポレーション株式会社様は、自社にフィットした受発注システムの導入により業務の統一化を実現し効率化、残業時間も大幅に削減しました。
今回はそんなDX戦略をブックオフコーポレーション株式会社商品部の杉山様、IT統括部の村田様にお聞きしましたのでご紹介します。
【プロフィール】
杉山様
商品部に所属。主にトレーディングカード関連の商材を担当。新品商品の仕入れ、中古商品の価格マスタ管理や、イベント運営、新品商品の全店向けの受発注管理が主な業務。
村田様
IT統括部に所属。会社全体で使っている各種システムの運用・保守を担当。新しいシステムの導入では、ユーザーの方々との要件調整や、開発側との橋渡し役として、業務フローが問題なくまわるようにするのが役割。
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約740店舗規模で負荷が増加、バラバラ運用と属人化
今回構築された「社内向け受発注管理サイト」について教えていただけますでしょうか。
村田様
今回つくったのは、全国の直営・加盟店舗と本部をつなぐ「社内向け受発注管理サイト」です。 店舗側のユーザーは商品担当者や統括担当者、本部側は商品担当者が主な利用者になります。
大きく分けると、
・店舗から本部への商品発注
・本部から店舗への卸に関する商品情報の共有
この2つのシーンで使っています。これまで担当者ごとにバラバラだった受発注のやり方を、このサイトを通じて「全社の標準フロー」にそろえていく、というイメージです。
導入前には「属人化」が大きな課題だったと伺いました。具体的にはどのような状況だったのでしょうか。
杉山様
以前は別のサービスを使って受注だけを取っていました。しかしその受注データを出せるのが本部側の部署だけという状態で、事実上「1対1でしか管理できない」という構図になっていました。抽出したデータを特定の担当者1名が加工・管理するという運用です。そうなると結果として、その人だけが「最終的な正しい情報を持っている状態」になってしまい、業務が属人化するということにつながりました。
つまり、本来はチームで分担すべき定常業務が、ほぼ「個人管理」になってしまっていたということです。負荷も大きいですし、やり取りが集中することで、ミスも起こりやすくなっていました。
約740の店舗と本部のコミュニケーションも、かなり複雑だったようですが、具体的にはどのような状態だったのでしょうか。
杉山様
そうですね。まず発注パターンは大きく2つございます。各店舗から本部に発注するパターンと、本部から一括で各店舗向けに発注するパターンです。
特にこの前者においては、担当者ごとに電話・メール・Excelなど方法がバラバラで、フォーマットも統一されていませんでした。後から「これも追加でお願いします」といった電話やメールが飛んでくることもありました。
村田様
当社は本・トレカ・ゲーム・メディアソフト・アウトドア用品・スポーツ用品など、多岐にわたる商材を扱っています。それに対し、それぞれに担当者がいて、その担当者ごとに店舗とのやり取りや管理方法が少しずつ違うのです。基本的なフロー自体は似ているのですが、細かいやりとりの仕方、店舗との連絡手段、管理方法が担当者ごとにバラついていました。
この商材はメール、この商材はExcel、このカテゴリはこの担当者……といった具合で、窓口もツールもバラバラで、店舗側からすると「誰に、何を、どう頼めばいいか」が非常に分かりづらかったと思います。
商材によって対象店舗数は違いますが、多いカテゴリだと700店舗近くが対象になることもあります。一方で、特定の商材は数10店舗だけというケースもあり、そこは、仕入れられる商品の数を担当者がどこまでカバーできるか、といった部分とも関係します。
どうしても個人の負担に寄ってしまう背景はありますので、システムの力で属人化を解消することができれば、より多くの商材を700店近くに配分することが可能になると感じていました。
ヒューマンエラーが生む、請求ミスとリカバリー工数
いわゆる“ミス”の面では、どのような問題が起きていたのでしょうか。
杉山様
主にExcelに起因するヒューマンエラーです。コピペミス、転記漏れ、関数のミス、報告用データの整形ミスなど、いわゆるヒューマンエラーです。
特に重たかったのは、FC店舗様に商品を卸す際の金額算出を誤ってしまったときです。本来と違う金額で請求してしまうと、修正データを作り直して、先方に電話でお詫びの連絡を入れて、請求書も再発行して……という流れになります。それだけで1?3週間かかってしまうこともありました。影響範囲もかなり大きいです。
村田様
そうですね。結局、請求のような後ろのフェーズでミスが発覚してしまうというのが要因として大きく、リカバリーにかかる工数もかなり嵩んでしまうという背景がありました。
既存機能+カスタマイズで、ニーズと予算の両立を実現
そうした課題がある中で、どのようにシステムの検討を進めていかれたのでしょうか。
村田様
最初の検討段階では、フルスクラッチ開発という案もゼロではありませんでした。ただ、コストと工数を考えると現実的ではないだろうと判断し、ある程度カスタマイズできるサービスの比較に絞っていきました。
リユース業界という特殊な業態で、扱う商材も多く、加盟店・直営店ごとの業務もあります。どうしても当社独自のニーズが発生するので、カスタマイズ性は外せない条件でした。
複数のサービスを比較されたと思いますが、最終的な選定のポイントはどこに置かれたのでしょうか。
村田様
大きく3つあります。
1つ目は「予算との整合性」です。約740店舗という規模感を考えると、アカウント従量課金型の料金体系だとどうしても予算的に合いませんでした。その点、御社のようにアカウント課金がない形は大きなポイントでした。
2つ目は「機能」です。必須要件を標準機能と少しのカスタマイズだけでどこまで実現できるかを重視していました。
3つ目は「一緒にやっていけるパートナーかどうか」という感覚的な部分です。長期のプロジェクトになると分かっていたので、こちらの意図をきちんと汲んで動いてくれるか、現実的な提案をしてくれるか、信頼感があるか、といった点を重視しました。
プロジェクトメンバーの印象はいかがだったでしょうか。
村田様
営業の方と技術の方がセットで商談に入ってくれたので、その場で現実的な話ができたのもおおきかったです。他の会社様の場合はどちらかということも多かったので。要件に対する実装方法をその場で検討されている姿も印象的で、「ここなら一緒にやっていけそうだな」と感じました。
初回打ち合わせから同じ営業担当の方が最後まで伴走してくださって、社内の業務理解のフォローもしていただけたので、とても心強かったです。要件定義以降も、スケジュール通りに進行して、テストやトライアル期間中に出てきた修正要望にもスピーディーに対応いただけました。
請求ミスはほぼゼロに、残業時間も大幅削減
導入後、特に「変わった」と感じていらっしゃるポイントを教えていただけますでしょうか。
杉山様
請求まわりのミスがほとんど起きなくなったのは、とても大きいです。御社側で用意いただいたデータベースに単価区分情報を持たせられるようになり、その情報を参照した上で請求処理ができるようになりました。
そのおかげで、基本的な請求計算を間違えることがなくなり、以前のような手計算・手修正はほぼ不要になっています。
単価の誤入力など、ヒューマンエラーの余地がゼロになったわけではありませんが、複数人でチェックできる運用に変わったことも含めて、ミスは「体感でかなり減った」と感じています。
残業時間も変わったのでしょうか。
杉山様
はい、そこも改善しました。以前はシステムが重くて処理に時間がかかり、発注作業がどうしても残業に食い込んでしまうことがありました。今は発注操作がスムーズになって、新人の方や発注に不慣れなスタッフでも扱いやすいと聞いています。
その結果、これまで残業が発生していた部分がほとんど解消されていて、肌感としてはかなり楽になった印象です。
「画面を開いた瞬間に分かる」UIで、現場からのハレーションもほぼゼロ
現場の方々の反応はいかがだったでしょうか。新しいシステムに変わると戸惑いも出やすいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
村田様
正直に言うと驚きました。通常、こうしたシステム導入では「操作が分からない」「前のやり方に戻したい」といった声が必ずといっていいほど出ます。別のプロジェクトでは、実際にかなり問い合わせが来たこともありました。
でも、今回の受発注サイトに関しては、「これはどこを押せばいいんですか?」「この画面の意味が分からないんですけど」という問い合わせ自体がかなり少なかったです。大きなハレーションもほとんど無く、比較的すんなり現場に定着した感覚があります。
必要な情報がすぐに拾えて、「この商品は自店に必要か?」「今発注すべきか?」といった判断が早くできる点、店舗ごとの発注・在庫の履歴も見やすくなった点から、現場からは「操作が重くない」「発注までがスムーズ」という声が多いです。
UI/UXの面では、どのあたりが評価されていると感じていらっしゃるのでしょうか。
村田様
「画面が直感的で分かりやすい」という声をよくもらいます。UIがシンプルで、商品名や必要な基本情報がひと目で分かる構成になっているので、画面を開いた瞬間に「これは何の商品で、今何をすればいいのか」が理解しやすくなってると思います。
既存の別システムだと、情報がただ羅列されているだけで、「結局どこを見ればいいの?」となりがちだったのですが、そのストレスがかなり減ったと思います。
今後の展望 基幹システム連携と在庫・請求の一気通貫へ
今後の展望について教えていただけますでしょうか。
杉山様
第一として、今回からきちんとしたデータが入ることになるので、その集約されたデータを弊社のPOSと自動連携していきたいと考えています。そこで工程を大きく減らしたいと考えています。
また、単価や請求、計算など「お金に関わる部分」のデータの正確性をさらに高め、ミスをより無くすのが展望になります。
第二は、データをアプリケーションで一気通貫につなげていくことです。たとえばポケモンカードなど抽選販売が必要な人気商材に対する機能や、予約機能などを考えています。
村田様 いまはPOSで在庫管理を行っていて、分かれている形なので、そことつなげることができると数字のミスや工数も削減できるので、シームレスなシステムを構築したいと考えています。
大変貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
今回の「受発注システム」はmakeshop BtoB byGMOから提供させていただいているサービスです。
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